皮膚の表面、表皮の一番外側は皮脂膜という脂質の膜でおおわれているということは表皮の構造で述べました。
その証拠に、顔を石けんで洗うとつっぱったような普段と違う感じがします。これは皮脂膜がとれてしまい、いつもは皮脂膜を通して感じていた外界の刺激が、直接加わるようになったからです。
皮脂膜の第一の役割は、水分の蒸発を防ぎ、皮膚が乾燥してしまうのを防止することです。また、水分や水に溶ける有害物質をはじいてしまい、それらが侵入するのを防ぐバリヤーにもなっています。
この二つは、水になじまない脂質の性質に基づく機能です。
その他、皮脂膜は微生物に対する防御の働きもあるといいます。皮脂の成分の中にはハタケの菌を殺す作用があるものがあるそうですし、皮膚表面のpHを低く、つまり酸性に保ってバイ菌が生えにくくしているのにも役立っているそうです。
もっとも、皮脂膜には体臭をおこす原因のひとつになったり、ニキビのもとにもなるというマイナスの側面もあります。

洗顔した後のつっぱった感じはやがておさまります。皮脂膜から新しく分泌された脂質が、また膜を作るからです。 新しい皮脂膜ができるまでに、およそ2~3時間が必要です。皮脂を分泌する皮脂膜は毛孔の中にあり、平均して1平方センチメートルあたり100ぐらいですが、顔や胸、背中などには多く、 手や足には少ない。額には1平方センチメートルあたり900もあるのですが、手のひらや足の裏には皮脂腺はないのだそうです。 もっとも、手のひらや足の裏にも角質層からジワっと出てきた脂質が存在しています。
皮脂の量は年齢によって変化します。子どものうちは少ないですが、思春期に増加します。そして中年を過ぎるとまた減少します。 一般に女性のほうが、年齢変化がはやくあらわれます。 皮脂の量は、皮脂腺の活動のあらわれと考えられるのですが、実際皮脂腺の大きさや活動性は16~20歳がピークで、男性は40歳前後から、また女性は30歳前後から減少するということです。 皮脂腺の活動は、性ホルモンと関係があります。例えば、男性ホルモンによって分泌が促進されますし、女性の場合は副腎のつくる性ホルモンが分泌を促進します。 これらホルモンの分泌の衰えが、中年過ぎの皮脂の分泌の衰えの原因だそうです。
皮脂の分泌が盛んになりすぎて困る場合もあります。ニキビです。思春期になってホルモンの分泌が盛んになるに伴なって皮脂の分泌が増えてくる。 ところが、皮脂が毛孔から皮膚の表面へ送られるはずの道すじがこの年齢では十分に発達していないので、脂分が出きらずに毛孔の中にたまってしまうのです。 この脂分を洗顔して除いてやればよいのですが、不精をしたり、活発になりすぎると、バイ菌がそこに繁殖して炎症がおこってくるのです。 それによってニキビができてくるのです。